PSIMの理想素子は全て物理モデルから計算を行いません。ですので、ThermalModule素子の精度を気にする場合には、設計者が「損失特性」の「正しい特性」を理解(準備)する必要があります。目標が決まれば、PSIMのThermalモデルは、MOSFET(database)とMOSFET(Eon)を選択してご利用いただけます。ここでは、MOSFET(database)の使い方をご紹介します。
■手順
1)まず設計者がこのように動作して欲しい「正しい損失」を設定する必要があります。例えば「実機の測定、SPICE結果」などになります。本例ではSPICE(LTspice)の結果が仮想的な目標になります。
2)モデルの精度検証ですが、評価方法の一例をご紹介します。
3)もし精度をあげたい(差を減らす)場合には、補正係数を利用する方法があります。
~~ モデルの精度検証例 ~~~
<確認作業>
・「Buck Convertor」のMOSFETをIRF1010(Infenion)の①LT-SPICEモデル、②MOSFET(database)、で損失特性を計算し比較した。①はLT-Spiceのライブラリ、②はInfenion社のDatasheetの条件で行った。
◆設定方法:図1:LTspice_psimsch、図2:Thermal_psimsch参照
◆Datasheet:IRF1010EZ - Infineon Technologies 参照
図1:LTspice_psimsch
図2:Thermal_psimsch
<結果>
・全損失の誤差は数%程度 ・要素別差:SW損失10~20%、導通損失1~4%
※)添付資料
★LTspiceモデルpsimsch: BuckFET_IRF1010EZ_SPICE_new.psimsch
★Thermalモデルpsimsch : BuckFET_IRF1010EZ_Thermal.PSIMSCH
~~ 補正係数の利用方法 ~~~
①主要因子での依存性をPSIMで計算する(主要因子は負荷側に流れる電流If1)。
②「正しい値」との誤差を算出する(本例では「LTspiceとの差」)。
③依存性を式化し、主要因子依存をパラメータ化した。
◆図3:主要因子依存性を求め、近似式を求める。
◆図4: 主要因子パラメータで補正係数を代入。
④補正結果がLTspice結果(設計者の表現したい目標)とほぼ一致する。
※)BuckFET_IRF1010EZ_Thermal.PSIMSCH では補正係数を指定するだけでお試しいただけます。
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